さて今回は窓。たくさんの人にもまれながらも開口部は大好きなので見る。この奈良監獄の基本形はこの形だったように思う。上部がかまぼこのようにアーチを描くが、いわゆるロマネスク様式ともちょっと違うような。風見鶏の館の食堂の開口部が同じような形だったが、あちらはもう少しカーブがあった。
形はよしとして、窓としての機能性を考えてみる。まずこの形状だと窓は上まで上がらないはず。
ほら、やっぱり。採光を考えてみても真四角にした方が開口部が広くなっていいと思うし、経済的に考えても長方形のほうが汎用性がある分、安く済むはずなのだが。
現代風に手直ししたと思われるのがのがこちら。上部のかまぼこだけ特注。下は汎用性のある窓。上部がベントになってくれればいいのだがあの形では・・・。
通常ベントにしたい廊下の開口部上部もかまぼこ。扉が2枚なのでかまぼこも2切れ。
こちらは扉が一枚なのでかまぼこも1切れ。壁と一体になっている部分の窓ならこの形状を装飾として付ける意味はわかるのだが室内の扉上部にも持ち込むとは、よほどこの形状にこだわりがあるのか。これは一度山下さんの作った五大監獄を一通り確認してみなければ。
さて、監獄ならではの窓の特徴。そう、窓の位置が高い。脱走防止。あくまでも窓は「通気」と「採光」。「外を眺める」という文化的な意義はなし。
窓枠と壁の形状。壁に傾斜を付けて窓を嵌めてくれているおかげで窓が大きく見える。山下さんありがとう~と思うが、手や足を引っかけることが出来ないので窓から逃げようとしても出来ないという性質も・・・。
つくづくよく出来ていると思う。